どうも、武器商人です。
今回は、僕の人生で最も影響を受けた書籍『ハッカーと画家』をご紹介したいと思います。この書籍は2005年に刊行され、当時のITエンジニアの間でも非常に高く評価されていました。
それから約20年が経ちましたが、この本に書かれている内容は少しも色あせていません。むしろ、今でも本書に描かれている「ハッカー的な思考」は重要だと感じます。
僕は1982年生まれで、2001年に大学に入学しました。大学1年生のとき、9.11の同時多発テロが起きたことを鮮明に覚えています。
2004年ごろには、ライブドアの堀江貴文(ホリエモン)が時代の寵児となり、若手IT起業家が注目を集めていました。当時の僕はITに興味がありつつも、いろいろな事情から文系の私立大学に進学し、卒業しました。それはちょうどITバブルの時期で、当時の空気感が懐かしく感じられます。久しぶりに本書を手に取って読み返してみると、当時の熱い気持ちが蘇ってきますね(笑)。
本書の著者、ポール・グレアムはLISPの凄腕プログラマーで、Yahoo!ストアの前身となるソフトウェアを開発した人物です。事業家としても大成功を収め、ソフトウェアを売却して今でいうところのFIRE(経済的自立と早期退職)を達成しました。本書は、そんなグレアムがコンピュータエンジニアの考え方やオタクの性質をさまざまな切り口から考察したエッセイ集です。
日本では「オタク」というと、社交性が乏しくビジネスにも不向きなイメージを持たれがちですが、実際には特化したスキルで社会的・経済的に成功している人も少なくありません。本書の著者であるグレアムや、堀江貴文、ひろゆきなどもその例と言えるでしょう。
「ハッカーと画家」という、一見共通性がなさそうな職業ですが、グレアムによればこの二者は非常に似ているのだそうです。本書では、ハッカーがどのように物事を考え、どのように振る舞うのかが説明されており、それを読むと画家との似ている点に気付かされます。もちろん、画家と似ていることが重要なのではなくて、画家のようなアプローチの中にハッカーの本質だとか美徳だとかそういったものが浮かびが上がってくるという所の洞察こそが大事な気付きだと思います。
日本のプログラマは「工場労働者の下っ端」のような位置付けにされることが多いかもしれません。しかし、本来プログラマはそういったものではありません。会社の教育だとか仕事の進め方次第ではただの作業者になってしまう可能性もありますが、グレアムのような社会的に成功したプログラマの考え方に触れ考え方が変わるのではないかと思います。プログラマは芸術家なんです。
グレアムはLISPの凄腕プログラマーであり、「LISPは神の言語」と称されています。この言語は非常に古いながらも、柔軟性が高く、使いこなせれば驚くべき生産性を発揮します。本書では、わかりやすいサンプルコードを用いながら、他の言語がなぜLISPに及ばないのかを説明しています。ハッカーが道具をどれだけ慎重に選び抜いているのかを、本書を読むと実感できます。
本書を読めば、プログラミング言語に対する考え方が変わるでしょう。求人広告に載っているような「流行りの言語」だけを追いかけるのではなく、「自分が何を実現したいのか」「そのためにはどの言語が最適なのか」を考える視点を得られるはずです。必ずしもLISPが自分にとって最良の言語とは限りませんが、本書を通じて、自分のやりたいことにどうアプローチするかを考えるきっかけになります。
ちなみに、僕もこの書籍に影響を受けてPerl、Python、Rubyといったスクリプト言語を習得しました。一時期はAmazonのAPIを使って本の相場を調べたり、ウェブサイトから情報を収集するクローラーを作成したりしていました。これも本書がきっかけです。
『ハッカーと画家』が刊行されてから約20年が経ちますが、今読んでも新しい発見がある書籍です。そして、グレアムが描いた未来が実際に実現しつつあることに驚かされます。
今、僕はChatGPTを活用しながらブログを書いています。仕事やプライベートでプログラミングをする機会は減りましたが、本書で得たハッカー的な気質は、今でも自分の中で生き続けています。